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馬を通じて自分を知る – Horse Valueのホースミラーリングセッション体験記

福島県の南相馬市は1000年以上続く伝統行事「相馬野馬追」のメイン会場、雲雀ヶ原祭場地を有するなど馬の文化が根付いている地域です。
その中で、馬との関わりを通して自分を深く知ることができる、「ホースミラーリングセッション」というプログラムを提供されているHorseValueという事業者があることを知り、とても興味を持ったので体験してみることにしました。
馬との交流を通じて内なる自己と対話するこのプログラムは、私にとって未知の経験であり、同時に自分自身を再発見する貴重な機会となりました。
今回はその体験レポートをお伝えいたします。

Horse Valueとは?

一般社団法人Horse Valueは、馬がもたらす社会的価値を再認識し、様々な課題の解決を目指しています。
元馬術競技のプロフェッショナルが立ち上げたこの団体は、馬と人との交流を通じて人の心を豊かにすること、「馬の社会的価値を高める」ことをビジョンに掲げています。

ホースミラーリングセッションとは?

「馬と関わることで自分を深く知る」プログラムで、その背景としては馬の高い共感能力(ミラー効果)があります。
馬の脳内にはミラーニューロン細胞が多く、目の前にいて関わる人の心の状態を映し出すことが科学的にも証明されています。
様々な馬との関わりの中で、映し出された馬の反応を読み取るプロが分析することにより、自己認識を促し、また、他者に無意識に与える影響や癖などを知ることができるプログラムとなっています

体験の詳細

セッションは主に、馬とのワークと振り返りを交互に行う流れで今回は3つのワークを体験しました。

1.馬と歩く

「馬と歩く」は手綱を引いて馬と歩くワークです。
このワークはまさに馬の鏡のような能力を実感するワークでした。
馬は初めて手綱を引く私の緊張を感じ取り、最初はなかなか一歩を踏み出してもらうことができませんでした。
やっと一歩を踏み出しくてくれたとしても、その次の一歩が続かず、焦ってしまうこともありました。
しかし、馬との関わりの中で徐々に私自身がリラックスしてくるとそれに応じて馬も一緒に歩いてくれるようになってきました。
一緒に歩くことができた時は、ほぼ無心で馬の歩きに寄り添うような感覚でした。
後の振り返りで、私には一貫した意思があり馬は信頼していたとのフィードバックをいただきました。
しかし、歩きたいという思いが強すぎたために緊張してしまい、意思は伝わっていたもののうまく一緒に歩けなかったことがわかりました。

2.馬を導く

「馬を導く」では手綱を使わずに、馬を押したり、声をかけたり、音を鳴らすなどして目標とする場所に誘導するワークです。
このワークでは一人ではなく、参加者同士でペアとなり協力しながら行いました。
入り口の方に向かおうとする馬に対して、入り口の対角線上に向かわせるという課題だったのですが、
ナビゲーターの方の見様見真似で押したり、声をかけたりしてもうまくいったりいかなかったりとかなり苦戦しました。
徐々に、馬も反応が変わり押すことによる抵抗が増えるのを感じ、どうしたら良いか戸惑ってしまいました。
ナビゲーターの方々から助言をいただきつつ、ワークを行っていったところ、徐々に馬の反応が変わり始め、目標地点まで後少しというところまで誘導することができました。
誘導することができた時には馬と人と一緒に、言葉を介さないでも同じ目的を遂行することができたという達成感を感じました。
後の振り返りでは、参加したパートナーとは正反対の特性があるとフィードバックをいただきました。
自分自身、あまり自覚できていなかった自分の特性を知ることができました。

3.馬に乗る

「馬に乗る」はその名の通り、乗馬して歩くというワークでした。
初めて馬に乗って歩くという緊張で最初はその緊張が馬に伝わってしまいましたが、2回のワークを経験した後だったためか、自分自身早くリラックスすることができて、気持ちよく馬に乗ることができました。乗馬している間は馬の気持ちになって歩くことを心がけました。その成果だったかはわかりませんが、馬と一体になって歩いているような感覚を得ることができました。

体験を通して学んだこと

今回、このセッションを通じて、自分の無意識の感情が他者に与える影響の大きさを知りました。
また、自分自身の特性について今までぼんやりと感じていたことが馬との関わりを通してより明確に気づくことができました。
さらに、馬との交流から、コミュニケーションにおいて非言語的要素がいかに重要かを学びました。

ホースミラーリングセッションは、自己理解を深めるだけでなく、人として成長するためのきっかけを与えてくれる体験でした。馬という鏡を通して、自分自身を見つめ直す貴重な経験となりました。

最後に

私たちの日常のコミュニケーションの多くは言葉により行われますが、ホースミラーリングセッションは、非言語コミュニケーションの大切さを思い出させてくれました。
馬との言葉を超えた対話は、新たな自分自身の気づきに繋がり、他者との良好な関係を築いていく上で大事なことを学ばせてくれました。日々の生活やビジネスシーンにおいてもその教訓は活かされていくだろうと感じました。そして、何よりも馬との関わりが忙しい日常を忘れさせ、束の間の癒しをもたらしてくれました。
Horse Valueは今回のホースミラーリングセッションのほかに、南相馬市小高区の町中を馬と散歩できる「小高うまさんぽ」や海岸沿いを散歩できる「海トレッキング」、15回のレッスンで馬に乗って海沿いを走ることができるようになる「ホーススピードマスタートレーニング」など様々な事業を展開されていますので、ご興味を持たれた方はぜひ、下記のWebサイトやSNSをご覧ください。