Topics / Column

特集 / コラム

4年ぶりの復活!!富岡町の奇祭「麓山の火祭り」に行ってみた

2023年8月15日、福島県双葉郡富岡町の伝統行事「麓山の火祭り」が開催されました。
この祭りは東日本大震災と原子力災害により一時休止を余儀なくされましたが2018年に復活。しかし、今度はコロナ禍により3年間中止せざるを得ない状況になりました。

そして迎えた2023年、4年ぶりの復活を遂げた「麓山の火祭り」を現地で見てきましたのその様子をお伝えいたします。

麓山の火祭りとは

「麓山の火祭り」は400年以上続くとされている伝統行事で、富岡町上手岡地区の麓山神社で毎年8月15日に行われています。
白褌姿の若者が境内に集まり、自らの手で作り上げた長さ2~3m、重さ30~40kgの松明に火を灯し「千灯(せんどう)、千灯」の掛け声とともに頂上を目指して駆け上がります。頂上では万歳三唱をした後また一気に駆け下り、その後、境内を三十三周し、万歳三唱を行い盆踊りへと移行します。
豊作や家内安全を祈願する麓山の火祭りは福島県の重要無形民俗文化財にも指定されています。

当日の様子

行事は、夕方の18時から始まりました。開催が危ぶまれるほどの大雨が降りしきる中、25名の白褌姿の担ぎ手達が社殿前に整列し、火祭りの手ぬぐいや剣札を受け取ります。

町長の挨拶等が終わると次第に雨も弱まり、18時20分頃いよいよ松明への点火が始まりました。

そして18時半頃、「千灯(せんどう)、千灯」の掛け声とともに担ぎ手達が一斉に、約230mの麓山の頂上を目指して駆け上がっていきました。

登頂直前までの大雨の影響で地面はとてもぬかるんでいましたが、それでも大きくて、重い松明を担ぎ登っていく担ぎ手達の姿はとても勇ましかったです。途中、呼吸が苦しくなり休憩を余儀なくされる担ぎ手もいましたが、みんなで励まし合い、山頂へ。

18時50分、山頂での万歳三唱を終えた後は、神社を目指し下っていきます。
ぬかるんだ斜面に足を取られながらも必死に下っていく担ぎ手達。苦しい中でも「千灯、千灯」の掛け声が途絶えることはありませんでした。

境内についた後は周りを三十三周し、万歳三唱。
2023年の麓山の火祭りは幕を閉じました(今回、盆踊りは実施せず)。

今回は、4年ぶりの開催、登頂直前までの大雨というとても過酷な状況での開催だったと思います。
さらに人口減少に伴う後継者不足、担い手不足が心配される中、それでも参加された担ぎ手の方々からは「伝統を守りたい」という意思を強く感じました。
私も、この伝統がいつまでも続くように記録や情報発信を通して、微力ながらも尽力していきたいと思いました。

「麓山の火祭り」は毎年8月15日に開催されています。皆様も、ぜひ直接足を運んでその火祭りの迫力や担ぎ手達の想いを感じてみてはいかがでしょうか?